概念と理論。と本質
よく「私はトランスジェンダーです」って看板をだしていると、
とりあえずそのジェンダーの概念から話を始めようとする人が居ます。 話題の切り口としては(一般的には)間違った手法ではないけども、 とかくトランスジェンダー相手ともなるとその意味合いが違ってくると言うお話。 トランスジェンダー(TG)を名乗ることは、要するに 「男と女以外の無数にある性別の1つ」という話になるわけですが。 これを感覚で捉えられるかどうかはこの際おいておいて、 「性別=個性」だってことは以前にも何度過去のBlogで書いてることです。 人の数だけ性別があるって言い方をするとますます混乱しかねないですけど(笑) そんな個性をとりあえず大まかに分類して名前を付けたのが概念であって、 とっかかりとして使うには問題ないんですけど、 概念ありきで話が進んじゃうとそれはもう「概念を見てる」ってことになるわけです。 私がTGとしてネットで初対面の人と触れ合う時に 一番「あぁ、この人は私を見てないな」って感じるのが、概念の話をする人。 逆に「難しいことは分からないけど、要するにどうしたいの?」って そういう話し方ではいる人ほど好印象になったりするのですよね~。 たぶん、意味の固定された言葉で自分を決め付けられるってことは、 レッテルを貼られてるのと同じくらいの苦痛が伴ってるって感じでしょうか……。 あと理論ありきの人は理論に酔ってるって場合もあり(笑) 個性ってことはつまり、ジェンダーって感情論の話なんですよね。 理屈では分かってるけど納得はいかない、なんてことは現実でもよくある話で 表面的なものを取り繕えば満足するなら、とっくに不満なんて無いわけです。 私服はユニセックスな服を着て、スーツも中性なもの(女性ならパンツルック)を着て、 それで自分をごまかせるレベルならそりゃもう安いものです。大バーゲンってくらい。 たいていの人が社会の中でなんとか現実に折り合いつけて生きていて、 でも陰では不満やストレスが溜まっていて……という話であって、 それがたまたま自分の内面に起因しているだけという、文字にすれば簡単な話。 普通の人だって日常に不満は抱えてるし、簡単に解消できないこともあるし。 形が違うだけで一緒。解消したい=多数派に配慮させたいなんてエゴだから。 世の中には「マイノリティの認知度を上げよう、みんなで理解しよう」という運動がある。 けど、たいていそれは当事者にとっては利益になることは少ないです。 知名度が上がれば「自己の利益のために利用したがる人」が寄ってくるもの。 GID(性同一性障害)なんかひどいですよね、もともと先天性限定のはずだったのに。 診断書さえあれば勝ち、AGとか性癖から来る人の免罪符に利用されてしまった。 そして、えてしてそういう「しがみつく人」の方が声が大きいのは言うまでもなく。 その声が認知の流れに乗れば、GID全体がそう見られてしまう矛盾。 「差別をするなと叫ぶことは、差別が存在するということを主張するに等しい」とか。 本当にマイノリティが求めているのは、きっと 「どうすれば傷つくかを知ったら、あとはそっとしておいてほしい」というところなのかも。 恋愛に置き換えると、男性はプレゼントの値段で量りたがるけど、 女性が本当に欲しいのは服でもバッグでもアクセサリーでもないんですよね。 耳元で「好きだよ」ってささやいて抱きしめてくれる方がよっぽども嬉しい。 トランスも感情論だからそういう側面があるわけです。本当にしてほしいこと。 「相手はこうしてほしいだろう、こうすると喜ぶだろう」で止まるのはエゴ、自己満足。 「どうしてほしい?」って直接訊いちゃうのは間違ってないけどずるい手段。 トランスを理解するというのは、結局のところその個人を理解することに等しいので、 恋愛と同義ですよね。相手を好きになるのと同じ覚悟が必要ってことになります。 ちょっと分かりやすく言いかえるなら、 「トランスを理解する」ではなく、「いろいろあるマイノリティの内の1つを理解する」覚悟。 こう言いかえるとトランスジェンダーの概念がいかにちっぽけで誤差なものか。 元から前向き思考な人は別として、基本的に誰かと触れ合うのはパワーがいります。 一歩一歩踏みしめて、何度も軌道修正して、何度も逆戻りして。 「知りたい」を維持することはけっこうしんどいものですよ……(汗) そして恋愛もそうやって少しずつ前に進んでいくものだから、 きっと、誰かを知ることと誰かを好きになることは同じ。 きっと、興味が失せることと恋愛から冷めることも同じ。 だから半端な好奇心は身を滅ぼすから、そういう人と距離を置くのは自然なこと。 知る覚悟と、知ってもらう覚悟。後者をマイノリティはいつも抱えてるのです。 さて、今回も長くなってしまった(笑) もしTGを理解しようとしてこれを読んでくれる人が居たら一言だけ言いたい。 「大事なのはその人がどうであるか?であって、 木を見ず森を見るだけならばその理論には何の意味もない」ということを。 マイノリティだもの、触れ合う中で該当する人なんてそんなに多くないもの。 その人にとって「トランスジェンダー=○○さん」ならば、 トランスジェンダーがどうって話じゃなくて、「○○さん」を見てあげるべきということ。
by melody_sinclair
| 2013-03-11 03:58
| TG・女装系
|
カテゴリ
以前の記事
2021年 12月
2021年 09月 2019年 08月 2019年 05月 2017年 09月 2016年 10月 2014年 10月 2014年 04月 2013年 06月 2013年 03月 2013年 02月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 最新の記事
最新のトラックバック
メモ帳
その他のジャンル
ツイッターのタイムライン
記事ランキング
画像一覧
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||